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  • 旭町の四方竹材店を訪ねて

    2006年05月08日
    ▼店主の四方和幸さん
    店主の四方和幸さん
    ▼油抜き工程
    油抜き工程
    ▼乾燥工程
    乾燥工程
    国道27号線から山家の交差点を上林線に入り、3kmほど走ると民家の広場に竹が何本も 組まれ天日干しされている風景が目に入ります。
    その竹の間を通り抜けて四方竹材店の主人、四方和幸さん(76歳)のお宅に お邪魔して来ました。

    昭和28年から旭町で竹材店を営まれ、50年以上この仕事に携わり最盛期には職人さんも12〜13人おられたそうですが、 高齢化等色々な事情で現在は夫妻で切り盛りをされ、今も現役で頑張っておられます。

    竹はイネ科の植物で、ご存知の通り成長が早く、竹の子のサイズで太さが決まるそうで、1ヶ月も経つと1本の竹として 完成し、1〜1.5年で硬くなり、成長が終わると太ったり伸びたりしないので、太った物が年数が経った竹とは言わないそうです。

    先ず、真竹や孟宗竹は3月頃切り出され竹洗い後、ガス等で竹の表面を熱し、くるくると回しながらボロ布で拭き、20分程かけて 油抜きを行います。この時、古い竹の場合は竹の表面が汚れている為ボロ布も真っ黒になるそうです。
    次に油抜きされた竹は天日で乾燥されます。真ん中で組んだり立てかけたりして1ヶ月位かけて乾燥させた青竹を白竹として仕上げ、 ある程度の大きさに裁断した後、用途別に各方面に出荷されます。
    海苔や真珠の養殖に使う筏用として、伊勢、広島、久美浜方面に出荷されたり、腰張りや土壁の下地用、お茶の道具、尺八、羊羹を 詰める容器等、用途は多岐に亘り、全国の竹の組合を通じて出荷されているそうです。
    ▼東大寺管主から贈られた額
    東大寺管主から贈られた額

    四方竹材店さんの大きな仕事の中には、2年程前にやめられたそうですが
    東大寺のお水取り用の真竹を23年間寄進されていた事です。
    3月12日の本火に、お水取りの行事で使われる真竹(11本)は
    直径が12〜13cmで、 長さが10mと決まっていて、松明として回される竹の為、真っ直ぐな物を選ぶ事と、
    切り出す作業が大変で色々苦労されたそうです。

    ▼炭焼き窯
    炭焼き窯
    ▼竹炭に利用される竹
    竹炭に利用される竹
    青竹は一次加工品を出荷した後は、竹の切れ端を利用して竹炭を 製造しておられます。
    竹炭の効果は以前から知られていましたが、最近は特に健康志向のブームで利用が 多いそうですし、2次製品として竹酢液も作られます。竹炭は浄化や脱臭作用があるとされ、変わった所では、 金閣寺の床下に湿気取りとして敷かれている竹炭も納められたそうです。

    店主の四方さんは、毎年体験学習等で地元の小、中学生を受け入れられていますが、後継者が、なかなかないのが淋しいと 話されていました。

    話をお聞きし竹にはこれ程沢山の用途があったのかと改めてびっくりしました。毎年切らなければ増え 続ける竹、一本から見事なまでに活用できるこの技術は継承したいものです。

    四方竹材店さんへのお問合せ
    綾部市旭町  0773−46−0390